喜如嘉の芭蕉布
琉球染織探訪1日目。
下北半島がまだ寒く真っ白な雪に覆われている1月、那覇空港に到着してびっくり、すでに夏のような日差しでした。
そんな中、最初に向かったのは沖縄本島の北部に位置する大宜味村。
那覇空港から北へ向けて高速道路を走る車窓からの眺めは素晴らしく、ブルーグリーンの海が広がっておりました。
約2時間弱でたどり着いた大宜味村は下北半島でいうと佐井村のようなイメージの村でした。
大宜味村は沖縄県でも一番の長寿の村として有名ですが、琉球織物を代表する『喜如嘉の芭蕉布』の産地でもあります。
ちょうどタイミング良く、地元の公民館(大宜味村農村環境改善センター)で『芭蕉布今昔展』という特別記念催事を開催していました。

会場には地元の子供たちやお爺ちゃんやお婆ちゃんが遊びに来ていてとてものどかな雰囲気でした(笑)。
そんな会場に展示している『芭蕉布』の作品は大変貴重なものばかり。
長年足を運んでいる取引先の方でさえ驚くほどの作品の数々。
普段は絶対見ることができない『芭蕉布』が300点以上も展示されていて、
こんな貴重な機会に足を運ぶことが出来てとてもラッキーでした。
その上、喜如嘉芭蕉布 事業協同組合の理事長の平良 美恵子さんから展示品の解説をして頂きました。

『芭蕉布今昔展』を満喫した私達は次に『芭蕉布会館』に向いました。
すでに日が暮れる時刻になっていたのですが、
なんと『人間国宝』の平良敏子さんにお会いすることができました。(感動でした~)・・・
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首里花倉織 伊藤峯子さん
染織探訪2日目。
まず最初にお伺いしたのは首里花倉織の第一人者で、日本工芸会の正会員の伊藤峯子先生の工房です。
首里城のすぐ近くに工房(アトリエ)を構えていて、ベランダから 那覇市内を一望できる素晴らしいロケーション!!。
伊藤さんはとても気さくな方で、まずはコーヒーをご馳走になりながらゆっくりとお話しをして頂きました。

『沖縄タイム』というのがあって、沖縄人は時間に縛られないで自分のリズムで生活を送っている人が多いんだそうです。
それこそ伊藤さんの師事した先生は相当な『沖縄タイム』の使い手だったそうです(笑)。
伊藤さんの作品は、季刊誌『美しいキモノ』でもたびたび取り上げられているのですが、
ターコイズブルーや淡いクリーム、ほのかなピンクなど、とても綺麗な色使いに目を奪われます。
伝統的な手法では絶対に出せない『色』があり、
自分が求める『色』を出すために日々研究を重ねていらっしゃるそうです。

また、織り上げるための準備としての緻密な設計図を見せてもらったり、
手間のかかる綜絖のお話と実演をして頂きました。
これまで織り上げた作品を色々見せて頂いたのですが、一点一点どれも素敵なものばかりでした。・・・
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読谷山花織伝統工芸士 又吉弘子さん
続いて向ったのは読谷村にある読谷山花織会館(研修センター)。
そこで理事長の又吉弘子さんと事務局長の西平朝吉さんにお話を伺いました。
沖縄の染織は産地ごとに協同組合があり、読谷山花織も協同組合で生産を管理したり、技術の継承をしています。
又吉さんは、ご自身が読谷山花織の伝統工芸士であり、現在は読谷花織事業協同組合の理事長をされています。

お伺いした時も見習いの織り子さんたちに指導をされていましたが、大切な伝統技術が外に流れて行かないように、村民でなければ研修することができない仕組みになっているとの事でした。
というのも、約600年の歴史を誇る読谷山花織は、明治時代に衰退し、一度「幻の花織」となってしまったそうです。ようやく復活したのは1960年代に入ってからで、現在は協同組合でしっかり守っているとの事でした。
ここで余談ですが、 又吉さんのジャンパーには「読谷一番」と書かれていました。
実は読谷村は全国で一番「人口の多い村」なのだそうです。定年退職をされた方をはじめ、読谷村に移住してくる方が多いのだとか。那覇市内からも近く、住みよい街なのでしょうね。しっかり村のPRをする又吉理事長、さすがです。(笑)

さて、読谷山花織に表わされる幾何学模様は、「子孫繁栄」や「長寿」「裕福」など、それぞれ意味がこめられているのだそうです。読谷山花織って縁起のいい織物なんですね。・・・
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琉球紅型伝統工芸士 金城盛弘さん
二日間にわたる沖縄の染織作家を訪ねる旅もいよいよ最後となりました。
最後にお邪魔したのは琉球紅型伝統工芸士の金城盛弘先生の工房です。
金城さんの工房は、那覇市内の閑静な住宅街の一角にありました。

私たちがお邪魔した時はちょうど名古屋帯を製作中で、
真剣な眼差しで糊伏せ作業をしていましたが、とても集中力と根気が要る作業なのだという印象を受けました。
落ち着いたところで先生から琉球紅型の工程や彩色などの特徴について、いろいろとお話をして頂きました。

また、工房内にある蒸し器や水元なども順番に説明をして頂き、大変勉強になりました。
京友禅のように分業ではなく、ほとんどの作業を自分たちでこなす琉球紅型は大変な手間だと思いました。
また、金城先生は伝統的な琉球紅型にとどまらず、
着物を着る方の立場に立った色・柄を求めて、京都へ赴き京染めの勉強をした経験もあるそうです。
真面目で探究心の強い金城先生ですが、何よりとても穏やかな方で、
物腰の柔らかい話し方をされるので、話を聞いているだけで癒されました(笑)。
鳥のさえずりが聞こえるゆったりとした工房で、とても居心地が良く あっという間に時間が過ぎてしまいました。
この環境だからこそ素晴らしい琉球紅型が染め上がるのでしょうね。
金城先生、大変有難うございました。・・・
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